2024/04/17
熱線(赤外線)を効率よく反射するということ今年も遮熱塗料の需要が増す季節になってきました。省エネ、CO2削減、SDGsをきわめて低コストで達成できる工法としていっそう普及して欲しいですね。もう何度か話題にしてはいますが、その熱線(赤外線)を反射する理論をおさらいさせて頂きます。
「白色」は実は色ではありません。光の全(乱)反射をヒトの目が白と認識しているだけです。だから、どれだけ効率よく光を反射させるかがもっとも重要なポイントになります。これは客観的に「屈折率」で評価できます。屈折率の差が大きいとそこで光が屈折&反射されます。
空気の屈折率が低い(屈折率1.00)ので、固まりで透明な固体は砕くと例外なく白く見えます。(右がアナターゼ型酸化チタン、左はテフロン粉末)
でも、たとえば表中に「体質顔料」がありますね。これは塗料中に大量に含まれますが塗料樹脂(屈折率1.4〜1.6)との差が小さいので混合すると無色になってしまいます。余談ながら「透明になる顔料をなんでわざわざ添加する必要があるのだろう?」とサラリーマン研究者1年生のときに思ったのですが、原価低減という重要かつ秘密の使命があったのですね。なにせ炭酸カルシウムなんか40円/kg(当時)でタダのような値段でした。意外な事実なのですが、酸化チタンはルチルにせよアナターゼにせよダイヤモンドを超える非常に屈折率の高い材料です。固体を144面カットすればダイヤモンドより見事な輝きになります。反射率も従って高く、この粉末は白色顔料としてはピッタリであると言えます。赤外線も光の一部なのでつまりは赤外線を反射させるには酸化チタンが史上最強&最適の顔料であるといえます。ところで、屈折率は波長によって変わります。プリズムで太陽光が可視光線では7色に分かれることはよく知られていますが、波長の長い赤外線は赤のさらに外側になり、つまりは「もっとも屈折&反射させにくい光線」ということになります。
これを効率よく反射させるためにはたんに表面を白くするだけでは不十分で、さらに工夫が必要ですね。 現在、この理論をもとにコスパが格段にいい遮熱塗料を某コラボ先と共同開発中ですので近々ご紹介できます、ご期待下さい。
2024/04/03
光触媒でボウフラ駆除を実現する蚊の幼虫のボウフラは成長が非常に早く、少しの水たまりでも繁殖する厄介な生物です。本来の光触媒はその有機物分解能力が数ヶ月から数年を要しますので、まずこの対策にはなりません。しかし当社光触媒は光触媒の副反応として、成分の金属銅粒子から銅イオンUCu2+が継続的に発生することが特長です。ホームページや各種報告書にご紹介した反応をおさらいしますと
光触媒の基本的な反応
光触媒アノード反応
H2O → 2H+ + O2 + 2e
光触媒カソード反応
O2 + 2H+ + 2e → 2OH・
2OH・ → H2O2
当社が開発した独自の付加反応は
Cu + H2O2 → Cu2+ + 2OH-
銅イオンUCu2+の強いボウフラ駆除効果は国際論文でも再三確認&発表されていて1〜2ppmの薄い濃度で十分に成長阻害&駆除効果が得られるとされています。さらに当社光触媒はバインダーへのナフィオン樹脂の採用で耐水性が非常に優れているため水に没する部分に施工しても長期の耐久性が確保でき塗布した後、水中に銅イオンUCu2+をリリースし続けます。
ちなみにリリースされる銅イオンUCu2+の濃度は最大10ppm程度で、一般的なプールの防藻に採用されている濃度と同レベルであり安全性には問題ありません。いわば十円玉を握っているような状態です。数日間でも水が滞留する部位はすべてボウフラ発生源になる可能性があります。屋外で凹んだ部分のある水平面はすべてその候補です。成虫の「蚊」への対策品は世に大量に出回っていますが、ボウフラ対策はまだまだ希少な技術ではないでしょうか。持続力も含めて大いに社会に貢献できると確信しています。