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2022年12月04日 [光触媒]

鉄の発錆を塗装で完全には防げない話

いつも逆説的な表現で恐縮ながら、事実のみを語るように気を付けております。
鉄の錆を防ぐ第一段階は安定的な黒さびの生成であるとされています。金属の鉄を黒いと思っているヒトが多いのですがこれは表面に黒さびが生成しているためですね、鉄のことを古来「黒金(くろがね)」と言いますから。実際の鉄はステンレスと同じ程度の白い金属光沢です。
黒さび黒さびは応急的な錆の抑止効果しかなく、すぐにより酸化の進んだ赤錆に変化しますので塗装が施されます。有機ポリマーを原料とする一般的な塗料で鉄鋼の発錆を抑えるには、塗料の材質は関係なく「とにかく厚く塗装すること」が昔から鉄則とされており重防食用のハイビルド塗料はその考えに沿ったものです。でも人間の眼には継ぎ目のない塗膜のように見えていますけれども分子レベルでは粗い網と同じ状態です。PETボトルに水を入れてしばらく放置しているとボトルがしぼんでいることがよくありますが、これは蒸気になった水がボトルを透過して抜けている現象です。PETクリヤー塗料の乾燥比重を1.2として、タテヨコ等分割で有機ポリマーが分布していると仮定した場合の分子状態がこの図ですが実体もほぼこれに近いです。分子モデル水分子は差し渡し0.38ナノメートルですから蒸気の状態ではけっこう自由に網をすり抜けていきますね、蒸気の密度が低いので人間の眼に見えないだけです。塗料を塗ることで鉄の表面に発錆の主原因である水分の接近を止めることが理想なのですが、それは厚塗りにしても不可能であるということになります。
結局、鉄の錆を理論的も現実にも永遠に止めることが可能な技術は塗装ではなくカソード防食であるといえます。これは当ホームページの本文でもご紹介した動画ですが、作成時は「鉄筋の表面からアルカリが発生していること」を証明するのが目的でした。しかしもうひとつの重要な事実である「カソードになっている鉄筋は塩酸の中でも錆びない」ということも証明しています。カソード防食にも光触媒が応用できますが、ちょっと話が長くなりすぎましたので別の機会にご説明させていただきます。

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